※眠れないの続きです。
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エルザがジェラールと一緒に眠った次の朝。エルザが目を覚ますとすぐ隣のジェラールが疲れた表情でエルザを見ていた。
「おはよう。ジェラール」
「・・・・・おはよう」
ぐっすり眠ったエルザが挨拶をすると、ジェラールも覇気のない声で挨拶をする。よくよく見ると目の下には隈ができていた。
エルザはどうしたのかと首を傾げる。エルザ自身はというと、ジェラールに優しい声をかけられ、優しく抱きしめられながら横になっていたためか、すぐに寝入ってしまった。
「ジェラール。眠れなかったのか?」
「・・・・まあな」
「どうしてだ?」
「いや、どうしてって・・・・・」
そこで、何故か言いよどむジェラールを不思議そうな表情で見ているエルザ。その顔が突然、ハッとした表情になる。
「――もしかして」
「ああ。わかってくれたか。エルザ」
自分からは理由を言い辛かったのだが、エルザのほうから察してくれたようだとジェラールは少々安堵する。
さすがに、この年齢で一緒に寝て何もないというのは、変だと気づいてくれたのだろう。エルザは真剣な表情で次の言葉を言う。
「私の寝相が悪かったのか?」
「・・・・・え?」
「おかしいな。そんなに寝相は悪くはないほうだと思っていたんだが」
「あの、エルザ?」
「違うのか?」
「全然違う」
「そうか、なら――」
エルザはしばらく考えると次の可能性を口にした。
「いびきがうるさかったのか?」
「・・・・・は?」
「すまない。自分では気づかないものだから。まさか、そんなにうるさいものだとは」
「だから、違うって」
エルザが目をぱちくりさせる。
「これも違うのか?」
「ああ」
「じゃあ、何でだ?」
ジェラールはエルザの目を見て、答えに詰まった。こんな純粋なエルザに本当のことを言うのは気が引ける。
答えに詰まるジェラールを見て、エルザが何かに気づいた表情になる。
「そうか。おまえ、不眠症なんだな」
「・・・・・へ?」
「よし。これから、おまえの不眠症が治るまで私が毎日一緒に寝よう」
「・・・エ・エルザ。ちょっと待って――」
勝手に納得してしまったエルザに抗議することもできず、ジェラールは今日の夜も、拷問のような生殺しも味わうこととなった。
END
不憫なジェラールシリーズ開幕です(笑)ということで手始めに生殺し地獄を味わってもらいました。
今日も ジェラエル
- 理乃
- 2011/02/06 (Sun) 01:39:49